プレスリリース

メディア 2007/02/02

日食IT版連載 成長へのモデルチェンジ
「食の安全を担保する情報管理」

安全と効率を両立

トレーサビリティーを在庫削減に応用
「小ロット生産体制」構築図る

トレーサビリティのコードを使った在庫把握。同じコードを集計する

食の安全を担保する仕組みを、在庫削減に応用する取組みが現れ始めた。トレーサビリティーシステムのコード(数桁の数字で表された番号)を使って、原料や半製品の在庫を把握。正確な数量をつかんで「小ロット生産体制」の構築を図る。ムダな発注や生産を防ぐとともに、製品の賞味期限管理を徹底する。突発的な需要変動への対応や、昨今の話題である内部統制にも大きな効果を発揮する。

1.非効率な大ロット生産

食の安全を確保するには、原材料の消費期限や含有するアレルゲン、添加物などの詳細情報を、製造部門でも把握できることが必要だ。そのためには、前回述べた通り、部門ごとにバラバラとなっている原材料コードを一元化しなければならない。
製造部門にとっては、安全な製品を作るとともに、製造原価を安く抑える取組みも重要となる。原価低減の手段としては、大量生産が長年志向されてきた。しかし、在庫を資産としてではなく、負債として捉える考え方が浸透。人口減少や消費単位の少量化が本格化するにつれ、需要量を上回る生産は廃棄ロスとなり、歩留を悪化させる。小売業の中には、賞味期間の6分の1を納入期限として設定するところもあり、鮮度という意味でも製品はたちまち陳腐化してしまう。原価低減手法として、大量生産が通用しないことは間違いないのだ。

2.小ロット生産を阻む壁

大量生産(大ロット生産)の限界を打開するため、小ロット生産体制の構築が絶えず叫ばれてきた。しかし、考え方としては浸透したものの、実際の行動には結びつかなかった。欠品に対する不安がつきまとっていたのだ。製造工程中に滞留している原材料や半製品の数量を正確につかめなかったこともあり、余分な生産や原材料の発注もやむことはなかった。
 生産設備の問題もある。設備の変更は、生産拡大時にはよく見られるものの、小ロット対応のための設備投資や改善という話は少ない。自動車や電機業界と比べ、生産技術の専門家が極端に不足しているという事情も影響している。

3.夢から現実へ

「食の安全・安心」への取組みとして、トレーサビリティー(履歴追跡)システムの構築が珍しくなくなってきた頃、小ロット生産体制の推進に風穴が開き始めた。履歴追跡では、原材料や半製品、製品のコード(数桁の数字で表された番号)を関連づける必要があるが、このコードを利用することで、在庫の数量把握や情報共有を行う基盤も整ったのだ。原材料の投入量まで管理できるトレーサビリティーシステムの場合、コード単位で投入量を集計すれば、自動的に在庫数量がつかめる。「食の安全・安心」に応える仕組みと、在庫削減を追求する仕組みが一体となっているのだ。
正確な在庫数量がつかめるようになったことで、小ロット生産体制の構築が夢ではなくなった。過剰生産を抑制でき、在庫管理も容易になる。ロットごとに賞味期限管理を徹底し、得意先の要求に合わせた商品供給を迅速に展開できる。小回りのきく生産体制のため、突発的な需要変動にも対応可能だ。正確な情報を共有する仕組みとすれば、内部統制の手段としても効果を発揮する。
(取材協力:ブロード・システム・ソリューションズ)

連載一覧

  1. 品質情報DB化の必要性
  2. 品質情報DBの業界標準は可能か?
  3. ブラックボックス化された製造DB
  4. 「正しい表示」への仕組みづくり
  5. 大阪デリカ
  6. 製造現場を含めた管理の仕組み
  7. 安全と効率を両立
  8. 小ロット生産にどう挑む?