プレスリリース

メディア 2006/11/10

日食IT版連載 成長へのモデルチェンジ
「食の安全を担保する情報管理」

大阪デリカ

表示ミスの防止体制を強化
ヒューマンエラーのリスク低減へ
品質確保の仕組みも高度化

関西を地盤に展開する量販店イズミヤの関連会社で、惣菜製造を手掛ける大阪デリカは、表示ミスの防止体制強化に向け、ITを活用した仕組みの構築に着手した。これまで負担の大きかった表示作成業務の自動化を図り、ヒューマンエラーのリスクを低下させる。品質保証や製造指示の要であるレシピ情報が簡単に作成・利用できるようになり、加工マニュアルの管理も効率化。変わらぬ美味しさを提供できる品質確保の仕組みも高度化させる。

1.表示作成に追われる商品開発部門

表示情報の作成に追われる商品開発担当者

同社は、イズミヤほか同社が運営する惣菜店向けに約100アイテムの商品を製造する。イズミヤの製品改廃は毎週行われており、それに応じた表示作成業務の負荷も高い。とりわけアレルギー表示と添加物表示の作成では入念な確認を行っているため、膨大な手間と時間が掛かる。
表示作成は商品開発部門が担当。製造仕様書に記載された原材料構成と仕入先が入力する原材料カルテ(※)をもとに表示情報を作成する。原材料構成は、盛りつけ前の半製品レベルから順次、一次原料、二次原料とツリー状に細かく管理。それぞれの原料について、どのようなアレルギー物質や添加物が含まれているかを、原材料カルテを参照しながら一つひとつ登録していく。製造仕様書はアイテム単位で換算して100種類以上、仕入先から入手したカルテの総枚数は500枚以上に及ぶ。いずれも汎用的な表計算ソフトで作られているが、アレルギー物質や添加物の入力は手作業で行われており、膨大な時間が掛かる。
実際に表示情報を作る際には、その製品に含まれるアレルギー物質や添加物を集約しなければならない。抜き出し漏れを防ぐため、3~4回は確認作業を行っており、担当者に掛かる負担も大きい。商品開発部門では、これらの作業に業務時間の半分以上を費やすことも珍しくない。本来の開発業務が圧迫されかねない状況となっていた。

2.表示情報作成を自動化

グリーンサラダの原産地表示は都道府県名まで記載

表示作成での負荷軽減に向け今春、レシピ管理システムの再構築に着手した。製造仕様書と原材料カルテの情報を関連付け、表示情報の作成を自動化する仕組みだ。原材料のコード番号を入力すると、それに含まれるアレルギー物質や添加物の情報を、カルテから自動的に引っ張ってくる。これまでのように、カルテを見ながら一つひとつ登録したり、集約をしていく手間が減り、表示情報作成に掛かる時間が激減する。集約時の漏れの心配もなくなるため、ヒューマンエラーを生み出すリスクも低下する。例えばグリーンサラダ。同商品は、JAS法(農林物資の規格化と品質表示の適正化に関する法律)により、主要原料の原産地表示をしなければならない。品質表示基準では「国産」という表示でも問題ないが、同社は「都道府県名」まで表示するようにしている。このため産地変更による表示情報のメンテナンスも頻繁だ。しかし、新システムでは原材料の使用期間を予め設定できるため、従来のように産地変更の直前でなければ表示情報を変更できないということはなくなる。

3.品質確保も高度化へ

今回の仕組みでは、レシピに関する情報を相互に関連付け、より付加価値の高い情報を作成することができる。同社は、製造担当者が変わっても、同じ美味しさを実現できる仕組みを模索し始めた。
現在、製造方法を記載した加工マニュアルは商品開発部門が作成している。商品の改廃や製造方法の変更があるたびに更新し、製造部門へ配布。製造部門は同マニュアルを紙で保管し、必要に応じて参照している。商品の頻繁な改廃に合わせ、製造品質を継続的に向上していくには、最新の加工マニュアルを効率的に作成・配布できる仕組みが有効だ。新システムでは、製品や原材料の情報を関連付けることで簡単に加工マニュアルを作成できる。また、システムを通じて誰もが簡単にマニュアルを参照することも可能だ。同社は、マニュアル作成の効率化を図るとともに、最新の加工マニュアルを製造担当者が容易に取り出せる仕組みを検討している。ニーズに合わせて加工マニュアルを手間なく更新・配布できるようになり、いつも変わらぬ美味しさを誰もが提供できる体制が強固になる。
※原材料カルテ=原材料の詳細な属性を記録した文書。
(取材協力:ブロード・システム・ソリューションズ)

連載一覧

  1. 品質情報DB化の必要性
  2. 品質情報DBの業界標準は可能か?
  3. ブラックボックス化された製造DB
  4. 「正しい表示」への仕組みづくり
  5. 大阪デリカ
  6. 製造現場を含めた管理の仕組み
  7. 安全と効率を両立
  8. 小ロット生産にどう挑む?